前回の記事では、耳コピやコピー演奏が「作曲」や「バンドのアンサンブル」にどれほど役立つかをお話ししました。
「さっそく耳コピに挑戦してみたい!」と思ったものの、「何から手をつければいいのか分からない」「途中で音が聞き取れなくなって挫折しそう」と不安になることもありますよね。
実は、耳コピで挫折してしまう原因の多くは、能力不足ではなく「手順」と「便利ツール」を知らないことにあります。
今回は、初心者の方でも迷わずに音をキャッチできるようになる「5つのステップ」と、耳コピを何倍もラクにしてくれる「おすすめスマホアプリ」をご紹介したいと思います。
耳コピを何倍もラクにする!おすすめスマホアプリ
昔はテープやCDを何度も巻き戻しながら耳コピをしていましたが、今はスマホアプリを活用することで、耳コピのハードルが驚くほど下がっています。まずは持っておくと便利なアプリを押さえておきましょう。
音階や楽器を分離できる「音源分離アプリ」
- ヤマハ Extrack(エクストラック) や Moises(モイゼス) などAI技術を使って、楽曲から「ボーカル」「ドラム」「ベース」「その他」の音を個別にボリューム調節できる画期的なアプリです。ベース音だけを強調して聴いたり、ドラムを消してコード音をしっかり聴き取ったりと、耳コピの強力な味方になってくれます。
スロー再生・ループ再生ができる「プレーヤーアプリ」
- mimiCopy(ミミコピー) や Audipo(オーディポ) など音程(ピッチ)を変えずに再生速度だけを落とせたり、聴き取りたい数秒間だけを繰り返し再生(ループ)できたりする耳コピ専用のプレーヤーです。速すぎて指が追いつかないフレーズや、一瞬の音の変化を分析するのに欠かせません。
挫折しない!耳コピを進める5つのステップ
準備が整ったら、いよいよ耳コピに挑戦してみましょう。ポイントは「いきなり楽器を持って音を探し始めないこと」です。
ステップ1:いきなり楽器を持たず、曲の構成をつかむ
まずは楽器を置き、曲全体をリラックスして聴いてみましょう。
「イントロ → Aメロ → Bメロ → サビ」といった曲の骨組み(構成)を、紙とペンやスマホのメモ帳にサッと書いて可視化しておくのがおすすめです。全体像をつかむことで、今どの部分をコピーしているのか迷子にならずに済みます。

ステップ2:曲のキー(調)とベース音(ルート音)を聴き取る
次に、曲の土台となる「ベース音(一番低い音)」を聴き取っていきます。
もし低音がベースの音かドラムのキックか分かりづらいときは、アプリのイコライザー機能で低音域をブーストしたり、音源分離アプリでベース以外の音を小さくしてみましょう。
アプリを使って音程を1オクターブ上げて聴くと、より音階がはっきり聴こえる裏ワザもあります。
この段階か、あるいは直前のタイミングで「この曲はどの調(キー)がベースになっているか」も確認しておくと、このあとの作業がずっと楽になります。

ステップ3:トップノート(一番高い音)を聴き取ってコードを絞り込む
ベース音がつかめたら、次は和音(コード)の一番上に鳴っている「トップノート(高い音)」を聴き取ります。
土台となる「一番下の音(ベース)」と「一番上の音(トップノート)」の2つの音が分かるだけで、その瞬間に鳴っているコードの選択肢はぐっと絞り込まれます。
ステップ4:「明るい?暗い?」響きの表情を感じてコードを確定させる
2つの音がつかめたら、そのコードが「メジャー(明るい響き)」なのか「マイナー(切ない・暗い響き)」なのか、それとも少しおしゃれな響き(7thなど)が含まれているのかを耳で感じてみましょう。
鍵盤やギターを使って、絞り込んだ候補の音を1音ずつ鳴らしながら「しっくりくる音」を探し当て、コードを確定させていきます。

ステップ5:どうしても分からない時はネットの情報を頼ってOK!
どれだけ集中して聴いてもどうしても分からない音が出てくることもあります。聴き取るトレーニングが目的ですが、苦しむ時間は最少にします。そんな時は、迷わずコード進行サイトやネット上の楽譜情報を検索して答え合わせをしてしまいましょう。
「完璧に自力でやろう」とこだわりすぎると、楽しむはずの音楽が苦痛になってしまいます。「分からないところは答えを見て納得する」という割り切りも、長続きさせるための大切なテクニックです。
習慣化のコツ:日常の中に「すぐ試せる環境」を作っておく
耳コピを上達させるためのもう一つの秘密は、「耳コピを始めるまでのハードルを下げること」です。
例えば個人的には、パソコンでYouTubeや音楽動画を観ているときに、常にDTMソフトやキーボード(鍵盤)の電源を入れて音が出る状態にしています。そんな風に生活に溶け込んで習慣化するのもおすすめです。
「気になる曲があったら、その場ですぐにキーボードを弾いて音を合わせてみる」という環境を作っておくと、練習と気負わずに日常のリスニングがそのまま楽しい耳コピトレーニングに変わっていきます。
プロで活躍中の友達も、家の要所要所にギターを置いているそうです。素晴らしい音楽はそのような配慮された環境から生まれてくるのだと思います。

まとめ:根詰めずに休むのが一番の上達法
耳コピは脳と耳をフル活用する、とても集中力の要る作業です。
「なんだか音がごちゃごちゃして聴こえなくなってきたな」と感じたら、一旦作業をやめて耳を休ませてあげてくださいね。少し時間をおいたり、翌日に聴き直したりすると、「あんなに苦戦していたのに、あっさり聴こえた!」なんてこともよくあります。
根詰めすぎず、嫌になる前にサッと休むのが上達への一番の近道です。ぜひアプリや便利なツールを活用して、宝探しをするような感覚で耳コピを楽しんでみてくださいね。
