Roland S-50 レビュー♪ 現代のDTMにも通じる、12bit名機サンプラーの魅力と「本物のピアノの響き」

音楽制作(DTM)やシンセサイザーの世界では、日々新しいソフト音源が登場しています。が、どれだけテクノロジーが進化しても、どうしても手放せない、そして現代の音源をも凌駕する魅力を持った「往年の名機」が存在すると思います。

その一つが、1986年にローランドから発売された12bitサンプリング・キーボード「Roland S-50」です。

今回は、中古で購入してから現在に至るまで、壊れることなく我が家で現役として活躍してくれているこの愛機について、音楽人の視点からその溢れる魅力とリアルな使用感をお届けします。

最近のソフト音源を圧倒する?「本物と変わらない」ピアノ音源の底力

S-50の最大のお気に入りポイントは、とにかく「音がとてもリアル」だということです。サンプラーなので生音を取り込んでいるのは当たり前なのですが、当時(12bit・サンプリング周波数最大30kHzというスペック)の技術でここまで綺麗に再現できていたことには、今でも驚かされます。

当時はドラムの音や環境音が入ったCDやレコードからサンプリングをたくさんして演奏していました。さらにS-50専用のフロッピーディスクのサウンドライブラリーのデータもありました。

そして特に素晴らしいのが「ピアノ」のサウンドです。私は自分の楽曲でもS-50のピアノ音を多用しているのですが、その響きはまさに本物のピアノそのもの。

最近の容量が何十ギガもあるハイレゾなピアノソフト音源を聴いても、このS-50の音を超える「存在感」や「馴染みの良さ」にはなかなか出会えません。

鍵盤を弾く快感:ベロシティによる生々しい表現力

また、S-50は「キー・ベロシティ(鍵盤を弾く強さの検知)」に対応しています。

  • 優しく弾けば、どこまでも心地よい繊細な響きに
  • 強く弾けば、エッジの効いた激しいアタック音に

この強弱による音色変化が非常に滑らかで、デジタル楽器を弾いていることを忘れてしまうほどです。このリアルな弾き心地とサウンドの説得力には、演奏するたびに時間を忘れて酔いしれてしまいます。

サウンドが薄っぺらくなることなく、芯があってしっかりしているのは、当時のローランドのアナログ回路やフィルターの質の高さゆえんかもしれません。

フェアライトCMIの気分を味わえる!RGB・ビデオ出力機能のワクワク感

年代的に古い機材ではありますが、S-50には当時の上位機種ならではのユニークな機能が搭載されています。それが「RGB端子」と「ビデオ出力端子」です。

本体の小さな液晶画面だけでなく、外部ディスプレイに画面を出力して、波形表示を見ながらエディットができるシステムになっていました。

私は当時、この端子をブラウン管テレビに接続してモニターしていました。画面に映し出される波形を見ながら音を編集する作業は、まさに当時の超高級シンセサイザー「フェアライトCMI」を操っているかのようなSF感があり、ただ作業しているだけで最高にワクワクしたものです。

当時のブラウン管テレビは手放してしまいましたが、今なら「RGB to HDMI」の変換コネクタなどを使えば、現代のPCモニターや液晶テレビに映し出すこともできるかもしれません。

こうした過去の遺産を現代の環境でどう活かすかを考えるのも、ヴィンテージ機材の楽しみ方の一つですね。

12ビットの「制限」と、これからのS-50:USB化への挑戦

もちろん、30年以上前のヴィンテージ機材ですので、機能的な限界を感じることもあります。

データの保存は、当時主流だった3.5インチのフロッピーディスク(FD)で行っていました。FDは現代では入手も難しく、経年劣化によるデータ破損のリスクも常に付きまといます。

しかし最近、この時代のサンプラーのフロッピーディスクドライブを大改造し、「USBメモリー」でデータを管理できるようにするエミュレータ(GotekやHxCなど)の導入がヴィンテージシンセファンの間で流行しています。

私もこの方法について詳しく調べてみたのですが、非常に実用的でロマンがあるカスタムだと感じています。大切な愛機をこれからも長く、そして快適に現役で使い続けるために、近いうちにこの「USBメモリー化」の改造にぜひ挑戦してみたいと思っています。

考察:フェアライトの「魅力的な違和感」と、S-50の「溶け込む優しさ」

あらためて、サンプラーの元祖であるフェアライトCMIのことを少し考えてみました。フェアライトCMIのサウンドは、エッジの効いた、食い入るような、金属的な「良い意味での違和感(強烈なキャラクター)」が最大の魅力だと思います。

もちろんRoland S-50も、サンプリングのやり方次第であえてその「ざらついた違和感」を作り出すことは可能だと思います。が、普通に使用していると、「自然に楽曲へ溶け込む質感」を持っています。

デジタルなのに耳に刺さらない、温かみのある太さ。これこそが、ローランドがシンセサイザーメーカーとして培ってきた「フィルター(回路)」の素晴らしさなのだと思います。

現代の高解像度なDTM環境に、このS-50の「自然に溶け込む12bitサウンド」を1トラック滑り込ませるだけで、楽曲全体にえもいわれぬ空気感と、音楽的な深みが生まれていると感じます。

まとめ:Roland S-50は今も色褪せない「現役の楽器」

Roland S-50は、「1986年に登場した過去の楽器」の枠を超え、成長し続けているのだと思います。

  • 現代の音源に負けない、芯のあるリアルなピアノサウンド
  • 外部モニター出力による、視覚的にもクリエイティブ心を刺激する操作性
  • USB化などのカスタムで、令和の時代にも進化させられる拡張性

多少の不便さも含めて愛おしく、そこから生まれるインスピレーションは計り知れません。もし中古市場やスタジオで見かける機会があれば、ぜひその「太くリアルな12bitサウンド」を体感してみてください。デジタルなのに温かい、本物の音がそこにはあります。

最後までお読みいただきありがとうございました。
もしよろしければS-50に関する誕生秘話や愛用しているプロのご紹介などの記事もありますので、そちらもご覧ください。

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