「モード」って何?わかりやすく体得できるコツ2選♪曲の中で使う方法。

音楽

「モード(ドリアンやリディアンなど)」という言葉を聞いて、「なんだか難しそう……」「ジャズをやる人のための特別なものなんでしょ?」と敬遠していませんか?

本やネットで理論を読んでも、「全音だの半音だの、よく分からない……」と途中で挫折してしまいますよね。

実は、理論を頭で丸暗記するよりも、「キーボードやピアノで実際に音を鳴らして、自分の耳で違いを確かめる」だけで、驚くほどスッと腑に落ちる瞬間がやってきます。

今回は、自分も長年抱えていた「モードのモヤモヤ」を完全に晴らすことができた、一番簡単な「体得のステップ」を分かりやすくご紹介したいと思います。

モードってなに?

モードを使えるようになるには感覚が大事なのですが、「基礎知識がないと気になって身につかないよ」という方はこちらを参考にしてください。

例えば「イオニアン」や「ドリアン」といったモードの名前の由来を知ると、音楽の歴史も一気に身近にせまって感じられるかもしれません。

これらモードの名前は、実は特定の誰か一人が発案したというよりも、古代ギリシャの歴史や民族、そして中世のヨーロッパの歴史が何百年もかけて織りなして作り上げたものになります。

それぞれの名前に隠された意味や、誕生の背景をやさしく説明していきましょう。

名前の秘密は「古代ギリシャの民族や地域」にあった

「イオニアン」や「ドリアン」、そして先ほど登場した「リディアン」などの名前は、すべて古代ギリシャに実在した民族や国名に由来しています。

古代ギリシャの人々は、それぞれの地域や民族によって、好まれる音楽のノリや雰囲気が違うと考えていました。「この地方の音楽はこういう独特の響きがして面白い」といった特徴に、それぞれの民族名をつけて呼んでいたのがルーツです。

  • イオニアン(Ionian)
  • 響きの特徴: 古代ギリシャの主要な一派である「イオニア人」、または彼らが住んでいた地域の名前に由来します。現在の私たちが「ドレミファソラシド(メジャースケール)」と呼んで普段一番耳にしている、最も安定して明るい響きです。
  • ドリアン(Dorian)
  • 響きの特徴: 勇猛果敢で知られた古代ギリシャの「ドーリア人(スパルタなど)」という部族名に由来します。どこか厳かでありながら、マイナー調でありつつも明るいカッコよさを秘めた、独特の哀愁漂うモードです。
  • リディアン(Lydian)
  • 響きの特徴: かつて栄えた古代の王国「リディア王国」に由来しています。先ほどご紹介した、フワフワとした神秘的な浮遊感を持つお洒落な響きです。
  • フリジアン(Phrygian):異国情緒とスパイス香る響き
  • 響きの特徴: 2番目の音が通常よりも半音低いことで、どこか物悲しく、スペインのフラメンコや中東の音楽を思わせるエスニックな雰囲気を醸し出します。聴く人を非日常へと連れていってくれるような、強いスパイスを感じさせるモードです。
  • ミクソリディアン(Mixolydian):ブルージーで爽やかな解放感「混ざったリディア」という意味を含んでいます。
  • 響きの特徴: 明るいメジャースケールに似ていますが、7番目の音が半音低くなっています。この絶妙な引っかかりが、ロックやブルース、ジャズで大活躍する「少し乾いた、爽やかで泥くさいカッコよさ」を生み出します。ギターのカッティングやコード弾きにしっくり馴染む響きです。
  • エオリアン(Aeolian):切なさが胸を打つ王道のマイナー
  • 響きの特徴: 私たちが普段よく耳にする「ナチュラル・マイナースケール(自然短音節)」そのものです。余計な飾りがないぶん、人間の切なさや哀愁がストレートに伝わってきて、心にグッと染み入るようなセンチメンタルな響きを持っています。
  • ロクリアン(Locrian):不気味でミステリアスな未完成の響き
  • 響きの特徴: 7つのモードの中で唯一、中心となる音が不安定な構造をしています。どこに着地していいか分からなくなるような緊張感があり、ホラー映画のワンシーンや、ミステリアスで不気味な雰囲気を演出したいときにぴったりな響きです。

7つのモードの風景

古代の人々が暮らした土地の名前を背負った7つのモードは、それぞれに違ったドラマや景色を持っています。

  • 明るさ・安定: イオニアン ドから始まる。
  • 神秘・浮遊感: リディアン レから始まる。
  • 哀愁・かっこよさ: ドリアン ミから始まる。
  • 異国情緒: フリジアン ファから始まる。
  • 爽快・ブルージー: ミクソリディアン ソから始まる。
  • 切なさ・王道マイナー: エオリアン ラから始まる。
  • 緊張・ミステリアス: ロクリアン シから始まる。

機材や楽器を触るときに、このモードを少し意識して音を出してみると、いつものフレーズが違った表情を見せてくれてますます楽しくなってきますね。

モードの正体は「お部屋」と「ちょっとしたスパイス」

それでは、実際にモードについて触れていきましょう。難しく考えがちなモードですが、まずは基本の「白鍵盤の世界(メジャースケール)」からスタートしてみましょう。

例えば、すべての白い鍵盤をそのまま使って、

「レ」の音からスタートして「レ」まで弾いてみる。これは「リディアンモード」です。半音、全音を意識することが体得の近道になります。「レ」からはじまって「ミ」と「ファ」のところが半音展開ですね。7音めの「ド」も同様に半音展開です。

他にも「ファ」の音からスタートして「ファ」まで弾いてみる。これは「ドリアンモード」です。

たったこれだけで、スタートする場所を変えるだけで、まるで別世界にワープしたかのように空気がガラリと変わるのが分かります。

そして、特定のコードの上であえて通常の音から「1音だけズラしてみる(スパイスを入れる)」。例えば、Cコードの上でリディアンモードを取り入れると、3音めが半音になるので、C、D、E♭となります。これが、モードのカッコよさやおしゃれ感を引き出す最大のカギなのです。

モード感を「なんとなくわかったような」から卒業するためのコツ

モードを自在に操るためのステップをいくつかご紹介します。

① まず基本となるキー(調)を確認する

例えば、鍵盤楽器で説明すると、曲全体がどのメジャースケール(白黒鍵のセット)を基本にしているのかを確認します。

  • 例えば「白鍵だけ」の世界(Cメジャーキー)なら、ファから始めればリディアン、レから始めればドリアン、と一発でどのモードの音を使っているかが分かります。

② 「通常のダイアトニック」と「モードのズレ」を比較する

「普通のマイナーコードならこの音だけど、ドリアンだからあえてこの音にズラしているんだな」という差分(ズレ)を意識するようにします。

  • この「1音のズレ」に気づけるようになると、アドリブを弾くときや作曲をするときに「ここであえてあのモードの音を当ててやろう!」と狙ってスパイスを効かせられるようになります。

楽器を触るのがもっと楽しくなるステージへ

「なんとなく雰囲気でこうなるんだな」という状態から、「こういう理由でこの響きになるんだ!」と理論と耳がガッチリ噛み合うと、楽器を弾く楽しさが何倍にも跳ね上がります。

今まさにその最高に面白いフェーズにいらっしゃるので、ぜひその好奇心の赴くままに、キーボードで色々なコードとモードの組み合わせを実験してみてください。

「楽しい!」と感じるための実践的なコツ

イオニアン(メジャースケール)ってどんな響き?

そもそもイオニアンとは、私たちが普段耳にする「ドレミファソラシド」そのものです。

  • スタートとゴール: 「C(ド)」から始まって「C(ド)」で終わる
  • 響きの特徴: 一番明るく、安心感があり、聴き手に「お家に帰ってきたな」という絶対的な着地感を与えてくれる王道のサウンドです。

コードとの兼ね合い:まずは「C」のコードで鳴らしてみよう

イオニアンを最高に気持ちよく鳴らすためのコツは、「鳴らしているコードとメロディーの軸をぴったり合わせること」です。

  1. 左手(またはバックのコード): 「C」のコード(ド・ミ・ソ)をずっと鳴らしておく。
  2. 右手(メロディー): その「C」のコードが鳴っている上を、Cのイオニアン(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)の音を使って自由に動いてみる。

これだけだと「ただのドレミ」ですが、ここにちょっとした「歌心(うたごころ)」をプラスするのが楽しさを引き出すポイントです。

「楽しい!」と感じるための実践的なコツ

ただ音を順番に並べるのではなく、以下の3つを意識してみると、一気に音楽らしくなって楽しくなってきます。

  • 「C(ド)」に着地する安心感を味わう
    • 適当にレやファやソの音を弾いてフラフラと散歩したあと、最後は必ず「ド」の音に着地してみてください。「あ、ここが一番落ち着く!」という実感が湧いてきます。これがイオニアンの最大の武器である「安定感」です。
  • 王道のコード進行(C – F – G – C)の上で弾いてみる
    • ずっと同じコードだと退屈になってしまうので、例えば C → F → G → C という、よくあるポップスの定番コード進行をバックに流してみます。
    • その上で、すべての音をCイオニアン(白鍵)のままメロディーを適当に弾いてみてください。「あれ、どんな音を適当に鳴らしても、なぜかめちゃくちゃ綺麗に馴染むぞ!」という感動があるはずです。
  • 「お気に入りのメロディー」を1つだけ作ってみる
    • 「ド・レ・ミ・レ・ド・ソ・ラ・シ・ド」など、自分が口ずさみやすい短いフレーズを鍵盤で鳴らしてみます。「自分で曲のメロディーを作っている!」という実感が湧いてくると、一気に楽しくなってきます。

まずはCのコードのうえで、自由に白鍵を転がしながら「あ、一番落ち着く場所(ド)に戻ってきたな」という感覚をぜひ味わってみてください。

初心者必見!モードを「なんとなく」から卒業する2つの遊び方

モードを頭ではなく、感覚でつかむための2つのアプローチをご紹介します。

遊び方1:同じ白鍵のお部屋の中で、スタート位置を変えてみる

まずは難しいことは抜きにして、白い鍵盤の上だけで「スタートする位置を変える」という遊びをしてみます。 「あれ、場所を変えるだけでこんなに雰囲気が変わるんだな」という、空気感の違いを耳でキャッチするのが第一歩です。

遊び方2:弾きたい主音(コード)を決めて、モード専用の音に切り替えてみる

ここが一番のブレイクスルーポイントです。例えば、左手で「C」のコードを鳴らしながら、右手で通常のメジャー(イオニアン)の中では使っていなかった「#F(ファのシャープ)」を混ぜてみましょう(リディアン・モード)。

まず右手で「F」の音からすべて白鍵で、半音、全音を意識しながらリディアンモードを弾いて音の並びを覚えます。
次に左手で「C」のコードを鳴らしながら、右手で「C」の音からD、E、#F(ファのシャープ)、G、A、Bと弾けばリディアン・モードの響きになります。

このとき、右手の中にあの「#F(ファのシャープ)」が含まれているので、Cコードの安定した響きの上に、フワッと宙に浮くようなリディアン特有のスパイスがしっかりとかかります。

このようにはじめに白鍵でモード音階を確認して、ルートとなる音からモード音階をあてはめて弾くと響きが変わることがわかります。「このコードの上にこの音を乗せると、あのおしゃれな響きになるんだ!」と分かると、一気に視界が開けていきます。

Cコードの中で、急に#Fから弾くのは、スパイス効果がいまいち?

結論から言うと、「急に#Fを入れる」からこそ、あの強烈で美しいスパイス(浮遊感)が一番引き立ちます

ただ、弾き方やアプローチのコツによって、その「効き目」が変わってくるのが面白いところになります。ちょっとイメージしてみてください。

① スパイスがいまいちボヤけてしまうケース

  • ド・レ・ミ・ファ#・ソ……と、ただ階段を上るように「順番に」サラッと弾いてしまうと、「あ、ただの通りすがりの音かな?」と聴こえてしまい、スパイスのインパクトが少し弱くなってしまうことがあります。

② スパイスが最高に効く「おすすめの弾き方」

リディアンの「#F」という音の魅力を最大限に引き出すには、こんなアプローチが効果的です。

  • 「#F」の音を長めに伸ばしたり、アクセントをつけてみる
    • Cのコードが鳴っている上で、「#F」の音をピタッと止まってみたり、少し強めに鳴らしたりすると、「おっ、ここでフワッと景色が変わったぞ!」というリディアンの魔法が一気に際立ちます。
  • 「E(ミ)」や「G(ソ)」を行ったり来たりしたあとに「#F」に着地してみる
    • 普通の安心する音(ミやソ)を何度か鳴らしたあとに、急にその「#F」を響かせると、そのギャップで一気にSF映画のような神秘的な浮遊感が生まれます。

リディアンモードが使われている有名なシチュエーション

リディアンモードの独特な浮遊感は、映画音楽やジャズ、ポップスなどでよく好んで使われています。

  • 映画『E.T.』や『スター・ウォーズ』のテーマ曲の一部分(ジョン・ウィリアムズの劇伴音楽には、この神秘的なリディアンがよく登場します)
  • フュージョンやジャズのソロ(浮遊感を活かして、宇宙空間を漂うような雰囲気を出すとき)
  • おしゃれなJ-POPやアニメ音楽のサビ前(「これから何かすごいことが始まるぞ!」というワクワク感を演出するとき)

普通のコード進行の中にふとこのリディアンの響きが混ざると、一気に楽曲が洗練されたプロっぽい仕上がりになります。

名曲も使っている!ビートルズに隠されたモードの魔法

実は、私たちが大好きな名曲の中にも、こうしたモードのスパイスが自然に隠されています。

たとえば、ビートルズの代表曲『エリナー・リグビー』。 この曲のメロディーをよく聴いてみると、通常の切ないマイナーの音(Cの音など)と、ちょっと都会的でおしゃれなドリアン・モードのスパイス(C#の音など)が絶妙に行き来して使われています。

驚きなことに、天才ポール・マッカートニーも、音楽学校で難しい理論をガリガリ勉強したわけではありませんでした。

彼はご自身の「耳の心地よさ」を頼りに、ピアノに向かって「ここは普通の音より、ちょっとこっちに動かした方がグッとくるぞ!」と試行錯誤しながら、このスパイスを体得していったのです。

つまり、私たちも自分の耳を信じて音を鳴らせば、名曲と同じマジックを自分で体験することができるのです。

まとめ:まずは音を鳴らして、ワクワク感を味わおう♪

モードは、机の上でお勉強するものではなく、「音で遊んで、発見するもの」です。

最初から完璧に理解しようとしなくて大丈夫。まずはキーボードで1つのコードと「たった1音のスパイス」を試して、ご自身の耳でワクワク感を味わってみてくださいね。

あなたの音楽ライフが、今日からさらに楽しく広がっていくきっかけになれば嬉しいです

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